介護のありかたは家族の形態の変化と共に家庭によって様々です。以前は高齢者の世話は主に家庭の主婦1人にのしかかる傾向が見られましたが、最近では晩婚化が進んだこともあり、独身男性が親の介護に当たるということも珍しくありません。中には勿論、独身の女性の場合もあります。

何れにしても単身者がそのまま親の世話をするといった事情も増えているのです。専業主婦の場合にも、肉体的精神的な負担は見受けられましたが、現在では経済的な負担までが1人の人間にのしかかるということも増えており、これが外に見えにくい苦労や問題となっています。経済的に困窮する世代にとって、親の世話は大変な負担になりつつあります。

デイサービスや短期の宿泊、入浴などを始めとした訪問介護などを上手に利用する人もいますが、家族の承諾が必要なことも多く、特に宿泊やデイサービス中に起こった体調不良や事故など何らかのトラブルには家族に連絡が入るのは勿論、場合によってはすぐに駆けつけなければならないことも少なくありません。その上、保険を利用する場合にも限度額によって利用も限られてしまい、自費での利用も余儀なくされたり、施設に入居する場合にも家族は安心して仕事に専念できるわけではないのです。

こうした、実際に当事者が直面する苦労は、保険制度や施設、ヘルパーの充実だけでは一概に解決できないことも多いのが現状です。まだまだ続く高齢化社会に於いて、最も解決が必要な点は何かを見極めるのも、私達が考えるべき課題の一つではないかと思います。